2014年6月28日土曜日

「おもい」を「チカラ」に変える講座を開催しました。

「おもい」を「チカラ」に変える講座
”援助拒否への介入”と”解決への共同”
  ―「いたみ」への共感から生活回復の支援へ―
  を犬山国際観光センターにて開催しました。

 この講座は、市内福祉施設職員・ボランティア研修事業として福祉関係者のスキルアップや研修の機会を提供し、資質向上によって犬山の福祉サービス、福祉活動の活性化につなげることを目的に開催しています。
 講座には、市内、市外(県外含む)の福祉関係者125名の参加がありました。

 今回は、「援助拒否」に着目しました。
 福祉の実践において“拒否”はさまざまな場面で出会います
 例えば、
 入浴の拒否。
 おむつを替えようとして「触らないで」と怒る人。
 訪問すると「お前は誰だ」と怒鳴る人。
 明らかに援助(支援)を必要としているのに提案を受け入れてくれない、
 介入を拒む等様々です。
 否を利用者の主張であるととらえ、その“おもい”にどれだけ寄り添うことができるのか。
 こうした利用者の「いたみ」への共感を手がかりに、生活回復の援助(支援)を考ました。

講師として、下記の方をお招きしました。

ファシリテーター(コーディネーター)に
 
  ○ 関西福祉科学大学

         小口 将典 さん
 


パネリスト(実践者)に
    ○ 度会広域連合
    事務局長 上田 浩史さん

   ○ 春日井市社会福祉協議会
    包括支援センター 北畠真紀さん
  
 ○ 関西福祉科学大学
   (元 大阪市淀川区南部包括支援センター)
    種村 理太郎さん



度会広域連合 事務局長 上田 浩史さんより
介護認定調査員の立場から
見ず知らずの人には話したくないという「拒否」には、これまでできていたことができなくなったつらさや恥ずかしさ、自分を認められない「いたみ」
があり、その「いたみ」の共感のために心の準備となる準備的共感の重要さ、生活の回復の支援として「語ること」を通じた心地よさを感じていただくこと(受容の態度)の必要性)を話していただきました。
また、相手の表情や状況に応じて話ができるような雰囲気作りとして席の座り方(位置)などロールプレイをもとに説明していただきました。





春日井市社会福祉協議会 包括支援センター 北畠真紀さんより
主任介護支援専門員の立場から
身近な実践者として、日頃取り組む実践のお話をしていただきました。
春日井市内で認知症高齢者の孤独死をきっかけに、地域の商店、医療機関、新聞店、弁当業者、老人会等(約50ヶ所)に見守りの協力を依頼する「高齢者まもり隊」という活動に取り組んだ事やゴミ屋敷と呼ばれる家で生活する住民の方に対して援助の介入をする中で福祉関係者のみでなく、ご近所の方など多くの方に協力をつなげた事例を話していただきました。



関西福祉科学大学(元 大阪市淀川区南部包括支援センター) 種村 理太郎さんより
社会福祉士の立場から
大阪での活動を例としながら地域支援活動を行うために必要な地域住民への対応についてお話をしていただきました。
利用者だけでなく、地域の方もクライエント(支援が必要な人)として捉え、両者の支援が必要がある。住民からの相談とクレームは前向き・後向きな捉え方によるものであり別々のものでないこと。
また、地域住民は、対立者である面と支援を提供する面の二つの顔がある。だからこそ、日頃から関係を作っていくことが大事であり、自発的な活動で協力していただける存在の地域住民に対し、専門職が感謝の意を表明することが必要である。地域住民の思いを受容することが、地域住民と利用者の対立関係の緩和につながることを話していただきました。
 

 また、関西福祉科学大学の学生のみなさんによるロールプレイ(利用者宅から出てきた時に、近所の町内会の役員さんからの要望(苦情)を受けた場面を想定)から、専門職として適切な態度・対応を説明していただきました。
 そこに住む利用者・近所の方が対立関係にならないよう配慮するために、非審判的な態度(どちらも悪者にしない)をとること。要望や苦情をいう人は、利用者を気にかけてくれる協力者になりえるため、協力者になっていただくような関わり方をするという視点を学びました。


 最後にファシリテーター(コーディネーター)の関西福祉科学大学 小口 将典 さんより
 援助の拒否への介入の概念として、拒否を本人の主張として受け止め、本人を知り援助を特徴づける機会として捉え直すことが必要である。そして、拒否は本人が生活イメージを回復して、主体的にサービスを使いこなすまでのプロセスの一部として見ることが必要であると説明していただきました。
援助拒否は、ある日突然に始まるのではなく、徐々にその意思が培われていく、「生活の縮小」「生活が後退」する過程を説明していただきました。
 その生活の後退に対して、高齢者の生活条件の整備や意欲回復を含む生活全体の働きかけが必要である。そこで共感という心地よさの体験を通じて、生活に対するプラスのイメージと持てるよう働きかけを行い回復、立て直しを図ることが必要である。その回復、立て直しは急がずに行うことが大切である。
 援助の拒否の思いを利用者の自己表現として受け止め、その自尊心を手掛かりとして自己表現の気持ちに寄り添いながら働きかけることが求められる援助である。と説明していただきました。




 参加者皆様は、熱心に聞き入り、講師から提示された事例やロールプレイなど積極的に取り組んで、関心の高さを物語っていました。
 アンケートからも参考になったとの嬉しい声をいただくことができました。

 活動支援をする立場である社協としては、この講座が地域で活躍する施設職員、ボランティアのみなさんの今後の業務・活動にお役にたてたとのではないかと嬉しく思います。

 この事業は、市民の皆様からご協力いただいた歳末たすけあい募金の配分金を財源に行なっています。
 共同募金の「じぶんのまちをよくするしくみ」の事業として活用させていただきました。
 皆様のおかげで開催することができました、誠にありがとうございます。
 
  (A.O)







2014年6月10日火曜日

「おもい」を「チカラ」にする講座 (援助拒否・よりそう支援をテーマにしたフォーラム)を6月28日に開催します

「おもい」を「チカラ」にする講座のお知らせ 

フォーラムの開催
「テーマ」
”援助拒否への介入” と ”解決への共同”
~「いたみ」への共感から生活回復の支援へ~
 
 
改めて問い直しませんか?
 私たち専門職の本質的な使命と存在意義を
見つけませんか?
 利用者の”おもい”に寄り添う支援・・具体的な援助方法を
 
 
社会福祉協議会では、市内の福祉施設職員・ボランティアを対象にした研修事業として関西福祉科学大学 社会福祉学部 社会福祉学科 講師の小口将典さんと共同でシンポジウムを企画しました。
 内容は「援助拒否」への解決を考えるものであり、特にゴミ屋敷問題に焦点を当てました。
 
 
  福祉実践において“拒否”はさまざまな場面で出会います。しかし、援助者側からすれば困った事態であっても、拒否は利用者の主張であるととらえることもできます。夫や妻、親しい友だちの死などの喪失体験による孤立感、死に直面する葛藤、回復への不安、麻痺や障がいが残ったことに対する失望、オムツを当てられ傷ついたプライド、散らかってしまった部屋を見られたくない…など人としてもっとも当たり前の感情であり姿です。その“おもい”にどれだけ寄り添うことができるのでしょうか。こうした利用者の「いたみ」への共感を手がかりに、生活回復の援助(支援)を考えたいと思います。
 ぜひ、ご参加をお待ちしております。


○対象 介護施設をはじめとする市内福祉施設職員
     市内で活動するサロンボランティア
     興味関心のある方
○日時 平成26年6月28日(土) 午後1時~午後4時
○会場 犬山国際観光センターフロイデ 2階 多目的研修室1・2
  (犬山市松本町4-21 ※名鉄犬山駅 東口から徒歩8分
○参加費 無料(定員100名 要申込)


申し込みは、
☆犬山市社会福祉協議会 担当 奥村

   電話    (0568-62-2508)
   FAX    (0568-62-9923)
   Eメール  iihukusi@gld.mmtr.or.jp
      

 ※Eメールでの申し込みの方は、お名前、所属名(施設名等)、電話番号、FAX番号、Eメールアドレスを記入し、社会福祉協議会まで送信してください。